【日本人がいま考えるべきこと】障がい者がいるこの世界をあなたはいつもどう見ていますか?
《1/4 ちょっとかわったスターバックスコーヒー》
コーヒーの芳しい、いい香りが漂う店内では、一杯ずつスタッフさんが淹れている姿が見受けられます。
ここは、マレーシアの首都・クアラルンプールにあるスターバックスコーヒーです。
一見、なんの変哲もない普通のいわゆるスタバですが、ところがどっこい、世界でも初めての試みが実施されている店舗で、ある秘密が隠されていました。
コーヒーの味も普通だし…
お客さんにも変わった様子はないし……何が違うというのでしょうか?
その秘密は、カウンターに行くとわかります。
な、なんと!スタッフさんが着ているエプロンを見てみると、手話で描かれた“STARBUCKS”の文字が…!
そう、彼らは聴覚に障碍(しょうがい)を持った人たちなのです。まさに、当店舗で働いている13人のうち、10人が聴覚障碍者です。そのため、仕事中のスタッフ同士の会話も手話を介して行われます。
なお、聴者のお客さんには専用のメニューカードに注文などを記入してもらい、ドリンクが出来上がったら設置してあるスクリーンに番号を表示することで対応しているということです。
《2/4 世界初の試みを支えた存在》
聴覚障碍をもった人にも、平等な雇用の機会を与えるべくオープンされたこの店舗での世界初の試みは、『The Society of Interpreters for the Deaf(聴覚障がい者のための通訳学会)』(通称SID)の協力の下、実現までこぎつけました。
SIDの関係者は今回のこのようなスターバックスの試みにこんな期待を込めています。
聴覚に障碍があっても、スターバックスを通じて技術を身につけることで、キャリアアップできるようになります。
それにより、自分自身にプライドを持てるようになり、達成感を感じることができます。
スターバックスが今回こういった画期的な試みを展開したことで、店舗で働く10人だけでなく、
障碍をもつ他の方たちの自信にも繋がったのではないでしょうか。
この店舗でシフトマネージャーを務める彼もまた、未来に大きな希望を抱けるようになった一人で、目指している夢があるといいます。
《3/4 障碍をもつ仲間に希望をもってほしい》
私は3年前にバリスタとして入社しました。
夢はマレーシアのスターバックスで初めての、聴覚障碍を持ったストアマネージャーになることです。
そう語る彼は、動画でもわかる通り、とっても生き生きした表情で自己紹介をしてみせていますね。
彼は加えて、同じく障碍を持つ人々のロールモデルにもなりたいと語っています。
同じような悩みを抱えている人たちに勇気を与えたいという気持ちが強いんだと感じました。
動画からもわかるように、手話の練習をしている最中、彼だけでなくそこのスタバの仲間たちの笑顔はみな輝いているのがとても印象的です。
こんな笑顔で接客してもらえたら、その日一日、良い気分で過ごせそうですね。
《4/4 日本でいま、考えなければならないこと》
ただ、残念なことに7月26日朝、ショッキングなニュースが列島を震撼させました。
神奈川県相模原市の障碍者施設で働いていた元職員の男が、そこで生活をしている障碍者19人を殺害するという、戦後最悪の事件が起こってしまったのです。(26日現在)
犯人については26日現在、警察が取り調べしているそうですが、どうしたって亡くなった人が帰ってくることはありません。
それもメディアで報道されている犯人の動機によると、障碍者を狙ったものであったこともわかっています。
先ほどのスタバがあるクアラルンプールを首都とするマレーシアは、多民族国家でマレー語や中国語などの多言語が飛び交う共同体ができています。そうした、障碍者の自立を目指しているスタバの店員さんたちをサポートできるような社会や共同体がいま、日本で必要とされているような気がしました。
日本にいるほとんどの障碍者は日本人ですが、異なるものを認められない風潮が日本ではまだ強いと感じます。
マレーシアのスタバで懸命に働く人たちの努力がある一方、今回日本で起きた障碍者への凶行。
障がい者がいるこの世界をあなたはいつもどう見ているでしょうか。
ひとつの考えるきっかけになってくれれば幸いです。