誰かを長いこと待つ。そんな経験、みなさんにはありますか?
南米のアルゼンチンと、ヨーロッパのドイツという遠距離で、そしていつ会えるかもわからない一人の女性をひたすら、ひたむきに思い、待ち続けた一匹の犬がいました。
アルゼンチンの野良犬が恋した相手…それはいったい誰だったのでしょうか。
ある日、仕事でアルゼンチンのブエノスアイレスを訪れた、ドイツ人キャビンアテンダントのオリビア・シーバーズさん。そう、この人こそ、アルゼンチンの野良犬が思い続けることになる女性だったのです。
そして彼女がアルゼンチンに行ったとき、この野良犬に出会ったのです。
もともと、ドイツの自宅で二匹の犬を飼うくらいに動物好きなオリビアさんは、アルゼンチンでその野良犬に会ってからというもの、エサを与えたり、少しの間遊んであげたりしたんだそうです。
すると、この犬はすっかり彼女に懐いてしまい、その場を離れようとしても、ずっと後を追ってついてきたのです。そしてついには宿泊先のホテルまでついてきてしまう始末。オリビアさんもこれにはお手上げだったようで…
ホテルに迷惑がかかってしまうと思ったので、わざと道を変えてみたりもしたんです。
それでも、彼はどこからともなく現れて、私の後をついてきたの。よっぽと誰かにかまってもらえたのが嬉しかったみたいね。
その後も犬は、オリビアさんが泊まるホテルのエントランス前で彼女が出てくるのを待つようになってしまったというのです。
ここまで自分を想い続けてくれる犬の一途な気持ちは無下にはできません。その犬に「ルビオ」という名前を付けて、自分がアルゼンチンに滞在している間は一緒に遊んであげるようにしたのでした。
しかし、ずっとアルゼンチンにいるわけでもありません。仕事で訪れているのでオリビアさんは、
「期間が空いてしまえば、きっとルビオも私のことを忘れてしまうでしょうね…」
と思い、アルゼンチンを後にし、ドイツへと帰っていきました。
そして数か月後、奇跡は起きたのでした。