写真を撮ったミルナさんはこう、語っています。
「私は見ました。この青年は、自分の靴を脱ぎ、店内にいたホームレスの男性に、それを渡していたんです。」
この直後、事情を知ったのでしょう、ストアマネージャーであるマイクさんが、靴下のままで働くフィルさんのもとに向かいました。そうして彼を見たマイクさんは、言葉を失うと同時に温かい鳥肌が立ったといいます。
すると、彼はマイクさんに対して
「僕も、足の裏に石が当たる痛みを知ってるんです。」
と言ったそうです。
彼自身もまた 10代の時にホームレス生活を送り、その困窮さや厳しさを知っているひとりでした。
また、写真を撮影したミルナさんが、彼が履いているピンク色のチャーミングな靴下について尋ねたところ、「乳がんで亡くなった祖母を想い、その啓発運動を象徴する色だから意識的に身に着けている」と答えたそうです。
彼の想いや行動に深く感銘を受けたマイクさん。代金は気にしなくていいから、店内にあるどんな靴でもひとつ選んでくるようにと伝えました。
そうして数分後、フィルさんがマイクさんのもとに戻ってきました。すると、謙虚な青年の手に握られていたのは、13ドルのありふれたサンダルでした。
まさに、貧しい時代を知っていてこそとは思いますが、それに加えて、自分と同じように困っている人を見て助けてあげたいという気持ちが行動として表れたフィルさんの素晴らしい思いですよね。
以前は自らもそうであったように、それと同じ境遇の人を笑ったり、けなしたりするのではなく、相手の気持ちに寄り添えるのはとても大事なことですよね。