撮った写真を机の上に大切に飾り、その写真を眺めながら、少年は警察官になりたいという夢を抱き始めます。
その夢はやがて形となり、高校3年生のときに警察官採用試験に合格。
そして2015年の3月に警察学校を卒業し、彼は晴れて警察官となりました。
(出典 Facebook)
(出典 Facebook)
鳥取さんは息子が大人になって警察官になったのは
ソウルであの親切な警察官と出会ったからであると感じ、
名も知らない警察官に感謝を伝えるためにソウルを訪れたのでした。
この事情を知った西大門署はその日のうちに、当時の警察官が西部の忠清南道(ちゅうせいなんどう)・保寧(ぽんりょ)警察署で勤務するキム・テヒョン警長であることを突き止めたのです!
キム警長は当時のことをこう話します。
初め連絡を受けたときは思い出せませんでしたが、写真を記憶が蘇ってきました。昔のほんの小さな出来事だったのに、感謝を伝えようと日本から探しにきてくれたと連絡を受け、とても嬉しかったです。
鳥取さんは翌日の午前、再度西大門署を訪れて説明を受けましたが、日本への帰国が迫っていたためキム警長にそのときは会うことができませんでした。
そのため、鳥取さんは用意してきた手紙と警察官になった息子の写真を彼に渡してほしいと西大門署の職員に託し、韓国をあとにしました。
その後、キム警長と鳥取さん一家はSNSを通じて連絡を取り合うようになります。
そして年が変わった今年の3月、キム警長と鳥取さんの息子はついに11年ぶりの再会を果たすことになります。
(出典 Facebook)
今度はキム警長が日本に訪れ、鳥取さんの勤務先を訪問しました。
11年ぶりでしたが、顔に面影が残っていてすぐに分かりました。訓練する姿や勤務する姿を見て、とても誇らしく、感無量だった。
11年前に9歳だった少年は、凛然とした警察官となっていました。その彼に対し、キム警長は「子どもたちに親切な警察官になってください」と伝えたんだそうです。それに対して彼は「キム警長のおかげで警察官になることができました」と感謝の気持ちを伝えたそうです。
そして最後にキム警査は、かつての少年に11年前にかぶせた警察帽をプレゼントしました。
その帽子は今、11年前と11年後の写真と一緒に飾ってあります。
(出典 Facebook)
日韓の国境を越えて人生を変えた、なんとも壮大で温かな物語でした。
これから鳥取さんは日本の治安を守る警察官になっていくと思いますが、
ぜひともキム警長がいう「子どもたちに親切な警察官」を目指してほしいですね。
キム警長も感慨無量だったのではないでしょうか。
そしてまさか、昔自分が子どもに行った行動が、その子どもの人生を決めることになるとは思いもしなかったでしょう。
海を越えた縁ひいては遠くとの縁を大切にしたい、そう思える物語でした。