腫瘍が見つかったの。悪性なので、入院することになるかもしれない。
その場にいた誰もが言葉を失いました。
普段聞きなれない「悪性の腫瘍」という単語は高校生の耳には重いものでした。
そんな時どんよりとした空気を変えたのはキャプテンの一言でした。
彼の名は緒方君。その言葉は”強い意志”が感じられる一言でした。
頑張って、あみを甲子園に連れて行こう。
まさにキャプテンに就くに相応しい精悍な言葉でした。
しかし現実の世界はあまりにも無情なものでした。
5月。末期を迎えていた舟木さんのことを知っていた監督が部員たちに
「見舞いに行ってこい。」と伝えました。
薄々その時が近いのを分かっていた部員たちは溢れそうになる涙を抑えながら
喋ることのできない舟木さんを懸命に励まし続けました。
そして5月30日。
仲間たちの想いは残念ながら届かず舟木さんはその生涯に幕を閉じました。
亡くなる間際にもスコアシートを片手に野球中継を見ていたという舟木さん。
「甲子園に行って、スコアを付けられなかったら困るでしょ。」そんな風に話していたそうです。
あまりにも惜しい彼女の死に心が締め付けられました。
舟木さんの思いを無駄にしないためにも絶対に甲子園に行くことを誓った野球部のメンバーたち。
彼らが所属している古賀竟成館は7月10日から福岡大会をスタートさせます。
どんなに苦しい戦いになっても絶対にあきらめない。舟木には、天国から甲子園のスコアをつけてほしい。
こう誓った部員たち。
彼らには誰よりも強い応援がついているはずです。
舟木さんの為にも是非正々堂々と良いプレーを披露して甲子園の舞台に駒を進めてほしいと願います。