「私はこの写真にあらわされている出来事がいかに恐ろしいのかを理解してほしいのです。見たくない人もいるかもしれませんが、これが実際に私に起こったことであり、この現実から目をそらさないで欲しいのです。」
テキサス州に住む24歳のクリスチャンさんはこう語りました。
順風満帆な生活
クリスチャンさんは、夫のファビアンさんとは高校生の時に知り合ったそうです。2人は自然と恋に落ちました。そこから愛を育み、ようやく昨年の11月に晴れて結婚することになったのです。
そして、今年の春には2人の間に新たな生命が誕生していることが分かります。
この家族はうんと幸せな生活をこれから送っていくはずでした。しかし、この家族に悲劇が起きてしまうのです。
家族を襲った悲劇
2人はクリスチャンさんの母親と共にランチをしていました。その後に母親と別れて、2人で家へと帰る途中に悲劇は起きました。
午後の6時頃に、高速を降りた道で逆走している車がファビアンさんたちの車に激突したのです。
それは一瞬の出来事でした。「なぜ右目を開けているのがこんなにもつらいのか。いったい何が起きているのか。なぜ路肩に飛ばされているのか。」そんなことが一瞬のうちにクリスチャンさんの頭を駆け巡りました。そして、下を見ると血まみれであることに気がつきます。頭からも血が流れてきます。夫のファビアンさんのほうを見ると、まるで眠っているようでした。
ファビアンさんが死んでしまったのではないか。そんなことが頭をよぎります。クリスチャンさんはひどい怪我を負った体で、ファビアンさんの腕をつかもうと、彼の手を握ろうともがきます。そして彼の手を掴むと、その手は冷たくなっていました。
お腹の中の赤ちゃん
クリスチャンさんは、すぐに救急車で病院に運ばれます。「私はお腹に赤ちゃんがいるの」と何度も言ったそうです。病院に着くと、夫のファビアンさんが亡くなっていたことを知らされます。泣き叫んだクリスチャンさんですが、まだお腹の中には赤ちゃんがいます。なんとかこの命だけは助けたい。
しかし、現実は無情なものでした。赤ちゃんは、想像以上に事故のダメージを受けていたのです。翌朝にナースがクリスチャンさんのもとに涙を浮かべながらやってきます。そしてひとこと「お気の毒です」と言い放ちました。クリスチャンさんは、最愛の夫と息子を同時に失ったのでした。
亡くなった赤ちゃんを外に出すため、人口分娩をします。そしてクリスチャンさんは亡くなった赤ちゃんをその腕で抱いたのです。
これがその時に撮られた写真です。
「亡くなった赤ちゃんを抱える重体の母親の写真」という記事であるにもかかわらず、母親の顔しか写っていない。
センセーショナルなタイトルに訴えた売名記事と思われても仕方ない。